ポゴスティッキングがSEOに与える影響と対策方法

ポゴスティッキング(Pogo sticking)とは、検索ユーザーが求めている情報が見つからずに、検索結果のページを行ったり来たりする行動のことを指します。

検索エンジンを利用したことがある多くの人が少なからずこの経験をしたことがあり、その際に困惑やストレスを感じたことでしょう。

Googleもそのユーザーの苦労を認識しており、ポゴスティッキングを引き起こすページに対しては、検索エンジン結果ページ(SERP)での検索順位を下げるなどして対応を行っています。

しかし、全ての問題が明確には見えてこないため、自分のWebサイトがこの問題を引き起こしていることに気づいていない可能性もあります。

そこで、ポゴスティッキングを防ぐ方法、そしてGoogleが理想とするユーザーエクスペリエンスを提供するために、何に注意を払い、どのような解決策を採用すべきかについて説明します。

目次

ポゴスティッキングがSEOに与える影響

ポゴスティッキングがSEOに与える影響と対策方法

ポゴスティッキングは、ユーザーが検索エンジンの結果ページの内容に対して不満を抱いている、という明確なサインです。

それは、提供された結果がユーザーの求める情報を満たしていないことを示唆しています。

これは、以下のようないくつかの理由考えられます。

  • ページのユーザー体験を向上させるための最適化が十分に行われていない
  • ページには関連性がない、または誤った情報が含まれている可能性がある
  • タイトルやメタディスクリプションが不明確で、ユーザーの疑問に対する回答として機能していない

ポゴスティッキングは、Googleに対して、より良いユーザーエクスペリエンスを優先し、検索結果をその基準で並び替える必要があると伝える働きをします。

Googleのジョン・ミューラー(John Mueller)氏も認めているように、これは直接的には検索結果のランキングを決定する要素ではありません。

しかし、間接的には検索結果の順位に悪影響を及ぼす可能性があるのです。

下記は動画内でのジョン・ミューラー氏の発言を翻訳したものになります。

検索結果に対するユーザーの行動を判断基準にすることは避けています。例えば、ユーザーが検索結果を行き来したり、異なる結果を閲覧したり、一時的にページに留まった後、戻ったりする動きは多種多様です。これらを詳細に分析して、「ランキング要素」として有効活用できるようにするのは、実際にはかなり困難な課題です。

なので、我々はそのような微細な動きには焦点を当てていません。我々が重視するのは、アルゴリズム全体の検証と、どのアルゴリズムの改良を開始するかを決定すること、そしてユーザーがこれらの変更にどう反応するかを把握することです。我々の仕事は、何百万もの様々なクエリとページを調査し、アルゴリズムが適切な方向に進化しているか確認することです。

しかしながら、個別のページの分析については、それに注力する価値はあまりないと我々は考えています。

English Google Webmaster Central office-hours hangout

ポゴスティッキングを引き起こす要因はいくつかの重要なランキング要素に関連しています。

そのため、これらの要素を取り除き、検索ユーザーが確実に目的の情報を取得できるようにすることが必要です。

ポゴスティッキングが発生してしまう要因

ポゴスティッキングはいくつかの要素によって生じることがあります。

特に、以下の4つが最も一般的な要因です。

ユーザーエクスペリエンスが低い

内部SEOを実施したことのある方なら、ページの読み込み速度、ナビゲーションの利便性、その他のユーザーエクスペリエンス(UX)要素が、直接的、間接的のいずれかにせよサイトの検索順位に影響を及ぼすことを理解していると思います。

しかし、多くのWebサイトは見た目の美しさを優先し、重たいビジュアル要素やページの速度を低下させる要素を含んでしまっています。

Unbounce社の調査結果によれば、ユーザーの過半数は、アニメーションや動画要素を犠牲にしてでも、より早く、レスポンス性の高いサイトを選びます。

たとえコンテンツがどれほど価値があるとしても、ユーザーがクリックしてからページが遅すぎて混乱したりイライラしたりするなら、その価値は大幅に減少します。

大半のユーザーはそれほど辛抱強くないため、数秒の遅延でユーザーを失い、ポゴスティッキング(すぐにサイトを離れる行為)を引き起こす可能性があります。

クリックベイトのコンテンツ

クリックベイトのコンテンツは、大げさなタイトルで読者を引き寄せるものです。しかし、その中身が伴わない場合、読者は失望してしまい、結果として価値のないものになります。

具体的に例を出すと、「1週間で5kg痩せる秘密の方法」というタイトルの記事があったとしましょう。

読者はその秘密を期待してクリックしますが、記事の内容は「水をたくさん飲む」というようなものです。

読者はこのような体験をすると、ページを訪れた直後にすぐに検索結果に戻る傾向があり、サイトの信頼性や評価に大きな影響を与えます。

このことから、クリックベイトなコンテンツはユーザーのポゴスティッキングを引き起こしやすいので、過度に煽るようなタイトルを使ったり、誤解を招くような内容にならないように気をつけるべきです。

探している情報や回答が見つからない

ユーザーが求めている情報や質問に対する答えを見つけるのが難しい場合、多くの人は結果ページに再び戻る傾向があります。

その理由はいくつか考えられます。

  • ユーザー求めている重要な情報が、ページの下部に配置されている、または無関係な情報によって見つけにくくなっている
  • ページ上には広告やポップアップなど、コンテンツを視覚的に妨げる要素が多く存在している
  • ペイウォールによって、ユーザー求めている情報に閲覧制限をかけている

このような状況は、読者がコンテンツから離れる原因となり、利益を得るどころか損害を招く可能性があります。

カジュアルなブラウジング

全てのユーザーのWeb閲覧行動を制御することは不可能です。時には、特定の情報を検索せずにただWebを流し見ているだけのユーザーもいます。

また、意図的に異なる情報源を比較するために検索結果のページ間を行き来するユーザーも存在します。

これは特に、製品を比較するためにレビュー情報を探しているときなどによく見られます。

これらの行動はサイト管理者の過ちではなく、むしろそれは検索エンジンの働きです。

検索エンジンは、ユーザーの要求に最も適切に対応し、そのニーズを満たすことができるページを優先的に表示することを目指しているからです。

したがって、ユーザーを自身のコンテンツに引き付けるためには、最善を尽くして良質な情報を提供し続けることが必要です。

ポゴスティッキングを防ぐ方法

ページを検索者の視点で見て、そのニーズに合わせて調整することで、ポゴスティッキングをなるべく避けることができます。

以下では、そのための具体的で実践的な方法をいくつかご紹介します。

ユーザーエクスペリエンスの改善

Googleは2022年2月のページエクスペリエンスアップデートの後、検索結果のランキングにおけるユーザーエクスペリエンスの重要性を強調しました。

単に素晴らしい内容を書くだけでなく、読者がストレスなく楽しむことができるように記事を構築することが重要です。

ユーザーエクスペリエンスを向上させるための最も重要なポイントは次のとおりです。

ページが速く読み込まれるようにする

Imperva社の調査結果によれば、ユーザーの60%以上は、ページの読み込みが5秒を超えるとそのページを離れてしまう傾向にあります。

そのため、大きな画像やファイルでページの速度を犠牲にすることは避けるようにしてください。

PageSpeed Insightsを活用することにより、ページの読み込み時間を評価し、それに基づいて改善策を講じることが可能です。

広告とポップアップを最小限に抑える

ブログや他のページに広告を掲載することは、それがコンテンツ閲覧の邪魔をしない範囲であれば、適度に行うことに問題はありません。

ただし、広告の配置についてはユーザー体験を損ねないように、細心の注意を払って考えてください。

モバイルデバイス向けにサイトを最適化する

Googleの調査によれば、ページの読み込みに3秒以上かかるモバイルサイトでは、53%のユーザーが離れてしまうと指摘されています。

モバイル ページ速度に関する業界の新しいベンチマーク – Think With Google

これはデスクトップデバイスと比較して、モバイルユーザーの滞在時間が一般的に短いという事実を踏まえると、特に重要なポイントです。

モバイルフレンドリーなWebサイトは検索順位を上げるために必要不可欠な要素です。

ページが即座に読み込まれ、小さな画面でも容易に操作できるようにすることが求められます。

コンテンツの視覚的な読みやすさ

ユーザーを退屈にさせないよう、長すぎる段落(テキスト)は避けるべきです。

代わりに様々な書式やコンテンツの種類を使用し、読者にとって興味深いものにしましょう。

  • 適切な位置での改行
  • 太字と斜体
  • フォントカラーの変更やマーカー線の使用
  • 箇条書きやテーブル表
  • 画像
  • 動画やSNS投稿の埋め込み
  • 引用や出典
  • ブログカードなどの装飾デザイン

これらは、ユーザーがコンテンツを読みやすくするために採用されている代表的な要素になります。

包括的かつ最新のコンテンツを提供する

取り扱うトピックや検索キーワードについては、関連する全ての情報が一箇所で得られるよう幅広くカバーすることが重要です。

その結果、ユーザーは必要な情報をすべてそこで探し出すことができ、再度検索をする手間が省けます。

これを達成するためには、トピックの全ての角度から深く掘り下げてみて、そしてそれを定期的に更新することを心掛けてください。

たとえば記事内に更新が必要な情報(トピックの最新情報や統計データなど)があると思います。

そのような情報を随時更新してコンテンツを常に最新なものに保つことで、読者がページから離脱する可能性を抑えることができます。

内部リンクを活用する

コンテンツ間の内部リンク作成は、2つの大きなメリットがあります。

一つはSEOの効果を高めること、もう一つはWebサイトを巡回する読者がもっと多くの時間を過ごすのをサポートすることです。

おすすめの方法としては、長文形式のメインコンテンツを中心にトピッククラスターを構築し、メインコンテンツに関連する詳細なコンテンツを内部リンクで繋げる手法です。

また、内部リンクの最適化を実行する際は、Googleアナリティクスが役立ちます。

読者がサイト上でどのような経路をたどるのかを把握し、ユーザーの行動を理解することで、内部リンクの配置を最適に調整することができます。

これによりWebサイトはより使いやすく、ユーザーのエンゲージメントを高めることが可能となります。

コンテンツを検索意図と一致させる

検索意図(Search Intent)とは、人々が特定のキーワードで検索を行う理由のことを指します。

彼らが検索する理由や、どのような目的で検索を行っているのか、例えば質問の答えを探しているのか、あるいは特定のWebサイトにアクセスしたいのか、などを考えることができます。

検索意図には4つのタイプがあり、通常は使用されるキーワードによって分類されます。

  • 情報系:「メガネ ブルーライトカットとは」で検索した場合
  • 案内系:特定のメガネブランド名(JINS、眼鏡市場など)で検索した場合
  • 取引系:「安いメガネ」または「メガネを購入」で検索した場合
  • 商業系:情報系と取引系の中間位置に存在する検索意図(例:おすすめのメガネ)

コンテンツを検索意図に合わせて調整すると、ポゴスティッキングを減らすことができます。

E-E-A-Tを考慮する

Googleの検索品質評価者ガイドラインで重要な位置を占めるE-E-A-Tという概念は、ユーザーに対して正確かつ信頼性の高い情報を提供するための重要な要素となります。

しかし、これは特定の分野における公認の専門家であることが必要というわけではありません。

重要なのは、コンテンツを作成する際に事実を精査し、信頼性の高い情報源を活用することです。

もし自身が何か特別な資格を持っているなら、それを遠慮なく積極的に提示し、自身の実際の経験を共有して、ユーザーや検索エンジンに自分の言葉が正確であることを伝えてください。

よくある質問を掲載する

コンテンツの本文でユーザーの疑問に回答している場合でも、記事の最後にFAQセクションを設けることで、重要なポイントを再度強調することは有効です。

これは、読者の全ての懸念に対して一元的に答える手短で効率的な方法であり、読者が情報を他の場所で探す必要を無くすためのものです。

ただし、FAQセクションを設けることで、コンテンツの初めの方で主要な質問に答えることの重要性を薄めるものではないことに注意してください。

読者に必要な情報をできるだけ早く提供し、詳細は後ほど説明するというアプローチを取るべきです。

直帰率を下げる

ページの直帰率とポゴスティッキングは深く結びついています。

サイトの読み込みが遅い、あるいは読者の興味を即座に掴むことができない場合、ユーザーは瞬く間にサイトを去ってしまうでしょう。

だからこそ、高い直帰率を示すページを見つけ出し、適切に改善することが重要となります。

直帰率を改善するための主な方法は下記になります。

  • 魅力的なタイトルと導入分を書く
  • ページをスクロールせず最初に見える部分にユーザーの目を引く要素を配置する
  • ページの読み込み時間を最適化する

Forbesの調査結果によると、オーガニック検索における直帰率の平均値は41% ~ 55%で、この数値よりも低い直帰率を目標とすると良いでしょう。

もちろん業界によっては基準値は変化しますが、一般的に言えば直帰率は低ければ低いほど良いとされています。

ポゴスティッキングと直帰率の違い

ポゴスティッキングと直帰率は、両方ともユーザーがページからすぐに去るという行動を表していますが、その意味と影響は異なります。

これらはよく混同されるものですが、Webサイトを最適化する際には、その違いを理解しておくことが重要です。

直帰率は、ユーザーがさまざまなソースからサイトにアクセスし、ページ上で何も行動(リンクのクリックや次のページへの遷移など)をせずにサイトを離れる割合を表します。

一方、ポゴスティッキングは、ユーザーが検索結果からサイトにアクセスし、その後すぐに検索結果ページに戻る行動を指します。

これらのユーザー行動は検索順位に悪影響を及ぼす可能性がありますので、それらが発生する原因を特定し解決するためのWebサイトの詳細な分析が必要です。

ポゴスティッキングに関するよくある質問

ポゴスティッキングとは何ですか?

ポゴスティッキングは、訪問者が検索結果から特定のページにアクセスしたものの、その内容が期待に合わないためにすぐにページを離れてしまう現象を指します。

これはGoogleに対して、そのページが関連性を欠いている可能性を示すため、結果としてページの検索順位が下がることがあります。

ポゴスティッキングが発生する原因は何ですか?

クリックベイト、ペイウォール化された情報、そして関係ない内容は、ポゴスティッキングを引き起こす主要な要因の一つです。

しかし、ユーザーがただ何となくブラウジングしているだけなら、それ以上何も手を打つ必要はありません。

そのような状況では、魅力的なコンテンツを提供し続けることで、ユーザーの興味を持続的に引きつけることが最善の策となります。

ポゴスティッキングを防ぐ方法は何ですか?

ポゴスティッキングを防ぐ主な対策方法は3つあります。

まずはじめにユーザーエクスペリエンスは訪問者がサイトに滞在する時間に大きな影響を及ぼす可能性があるので、常に良好なユーザー体験を提供するよう心掛けましょう。

サイトの読み込み速度を速め、魅力的な視覚要素を活用し、またコンテンツを適切に分割して読みやすさを追求することが重要です。

次に内部リンクは、ユーザーがWebサイトを長く閲覧する手段として有効です。

それらを通じてユーザーを様々なページへ誘導することで、滞在時間を延ばすことが可能となります。

また、トピッククラスターを設けて関連するコンテンツ同士をリンクさせることで、読者が探している情報を効率的に一括で提供することができます。

最後にユーザーが何を求めているのかを理解し、そのニーズに応える形で各コンテンツを最適化することが大切です。

コンテンツはユーザーの検索意図をきちんと満たすことが求められます。

ポゴスティッキングと直帰率の違いは?

ポゴスティッキングと直帰率は、互いに密接に関連していますが、全く同じ概念ではありません。

直帰率は、あらゆるソースからウェブサイトに訪れた全てのユーザーを対象に計算されます。

一方、ポゴスティッキングは、特に検索結果から訪れたユーザーの動きに焦点を当てた現象です。

これら2つの問題に対応するためには、オンページ SEOと技術的なSEOの両方を効果的に活用することが必要です。

最後に

特定のページに対するユーザーの第一印象というのは、それ自体が直接的なランキング要因とはなりませんが、検索クエリと全体的なユーザーエクスペリエンスに対して、ページの関連性をダイレクトに表すため、検索結果の順位に大きく影響を与える可能性があります。

信頼できる情報源としての地位を確立し、常に最新の情報を提供することで、ユーザーのサイトからの早期離脱(ポゴスティッキング)を防ぐことができます。

また、サイトの速度の最適化、広告の適切な配置、モバイルに対する親和性など、技術面にも焦点を当てる必要があります。

上記のすべての要素に注意を払うことで、ポゴスティッキングの問題を最小限に抑えることができるでしょう。

最後にこの記事が参考になった、あるいはご質問などがある方は、ぜひコメント欄でお聞かせください。

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